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そんな駅の肖像を描く 駅物語

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稲富 (名古屋鉄道・谷汲線)
  岐阜県揖斐郡大野町 (2001年10月1日廃止)
 〜 水の豊かな豊作の地 〜

 

  周囲に田んぼが広がる県道沿いの民家の間を抜けるとそこにホーム1本の駅があった。稲富駅だ。駅名がしめすとおり県道沿いの田んぼには稲が豊かに実っていた。
ホーム上には緑色のペンキで塗られた待合室があるが、木も朽ちて壁の部分が一部はがれたている。それとは対照的に壁に貼られた名鉄のお得な切符などをピーアールするポスターは真新しい。
     
  8月もお盆を過ぎると真夏の太陽の熱さの中にもなんとなく秋の訪れを感じさせる空気を感じる。小学生の頃、夏休みも残り少なくなってきたという日々の昼下がりを思い出させる。
谷汲線最後の夏は記録的な小雨、渇水が心配されたが、それでも根尾川から流れる冷たそうで清らかな水は豊かだ。畑の作物も青々と大きく育っている。
     
  2006年になった今、2001年の夏をふりかえる。三度四度と谷汲線やその他の廃止路線に通った日々。毎年繰り返される夏の中でとりわけ鮮明に思い出させるのは自分の仕事の転換期でもあり、また鉄道やその周辺の景色を記録した多くの映像の背後にそれを撮影した自分の姿も記録されているように思えるからかもしれない。
     
  2001年8月17日撮影 2006年2月26日記

 
   
 
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