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そんな駅の肖像を描く 駅物語

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布袋(名古屋鉄道・犬山線)
〜 さりげなく大正時代 〜

 

  近くにありながらいつも通過していた写真でしか見たことがなかった布袋駅に降りた。駅前の道は細い。駅舎の全体を撮ろうとすると道いっぱいに後ろまで下がってなんとか収まるかというぐらいだ。駅の柱には駅開業時の旧名鉄の社章が彫り込まれている。浜寺公園などでも見られるが、大正時代の洋風建築は柱の形、装飾などがとにかく凝っている。
     
  実用的には何ら必要のない飾りではあるが、「ハイカラ」が渋みをますと気品に昇華する。社章が彫り込まれているところはさりげないようでいて、実はかなり力が入っている。コスト重視、費用対効果を重視する現代においてはまず生み出されない産物である。
現在自動販売機が置かれている場所には、以前街角のたばこ屋のような売店があったそうだが、残念ながらもうなくなっていた。
     
  もう一つ目をひいたのが待ち合い室に飾られていた布袋駅を描いた油絵である。この絵はおそらくそう古いものではないだろう。その構図は布袋駅の写真でよく見られるような正面からの構図ではなく、駅の横から描いたもの。単に駅の正面には腰をおちつけて絵を描く場所がなかったということもあるだろうが、あえて布袋駅らしさが出ていないアングル、電車も描かれていない。
     
  秋深まる色彩に溶け込む駅舎、なかなかの佳作である。誰が寄贈したのかはわからないが、価値ある駅であること、人に愛されている駅であるということを、この油絵がさりげなく主張している。
土曜日の昼下がり、この後駅のホームは下校する高校生達であふれた。 (2002. 2.16撮影)
   
 
   
 
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